11月

  • 11月26日  受験は元服の儀式のようなものだと思います。
    将来親元から離れ人生を切り開くために、乗り越えなければならない障碍です。
    幼い子供にとっては苦痛の体験ですので、真っ正面 に向かわずに避けようとします。
    受験によって努力が成就した子供にとっては、自我を確立する貴重な体験となります。
    逃げてはだめ、しっかりと自分を見ること。 

    11月27日 お休みです。

    11月28日 分数が苦手な子は位置関係の認識が苦手です。
    右左上下を指で確認しながらチェックするのが効果的です。
    「6と9」「bとd」の区別ができない子も同様です。

    11月29日 期末テストが終わったFさんがションボリしています。
    「先生、今回は失敗したけれど、今度は絶対に頑張るから。
    テスト2週間前から、きっちり計画を立てて頑張るから。
    絶対に点数をよくするから。」
    それを聞いた田中は、「今度じゃなくていいから、今日できることを頑張ってください」と苦笑いです。

    11月30日 M君らは「単位」の勉強にします。
    かけ算やわり算のしくみ、小数や分数の意味が理解していない子供には、時間がかかる単元です。
    しかし、どうしてもやり遂げなければなりません。
    M君の指を握り、小数点を右に左に動かしています。

    12月01日 体験学習で何人かの子どもたちが、勉強しに来ました。
    初めて接する子どもたちの学力はもちろん気になりますが、緊張させないで素のままの姿を観察しています。
    「言葉使い」「人の話を聞く態度」「鉛筆の持ち方」などです。
    「塾というところは、楽をして勉強ができるようになるところだ」と勘違いをしている子は、帰る時刻が来るとヘトヘトになっているはずです。
    「勉強するから勉強ができるようになる」ごく当たり前のことです。

    12月02日 受験生を持つ親御さんが、ひどく心配されています。
    「合格できる学校はあるのでしょうか?」
    「昔からここぞという時に力を出せない子なんです」
    「全部落ちた場合あの子が腐ってしまうかもしれません」など絶えないようです。
    上の子の受験は特にそうです。
    田中は「この子を信頼して任せてみましょう。
    親御さんの不安感がそのまま子供に移っているようです。
    失敗したらその時はその時で支えてやりましょう。
    どんな結果になっても支えられている安心感は、これからも必要です。」

    12月03日 少子化などの社会状況に変化により、高校受験は様変わりしてきました。
    倍率が限りなく1倍に近い高校では、用意された席を争って血眼になる必要はありません。
    平常心で勉強を続け、自分の学力を素直に出せればいいのです。
    100%の力を出そうと緊張しきっている子には、70%の力を出せれば合格できることを説明しています。

    12月04日 お休みです。

    12月05日 中間テストのできはよいのだけれども、期末テストの結果が芳しくない子どもがいます。
    今回、テストの間は1ヶ月余りしか開いていませんでした。
    短期間の学校の授業を吸収していないようです。

    12月06日  近頃大人になってきたのは、Bさんです。
    現実の自分や将来の自分のことを考えられるようになりました。
    勉強も目的意識を持って具体的に勉強しているので、飛躍中です。
    概して、この時期の男の子はまだ幼いようです。
    現実を直視できず空想の中に生きるピーターパンです。

    12月07日 保護者との個人面談の時期になりました。いくつかの要旨を紹介します。
     「自分の子供の能力は客観的に認識しているつもりです。
    能力以上の結果を要求してはいません。
    結果よりも何かを一生懸命成し遂げたという体験をさせたいと思っています。」

    12月08日 「子供にたいして『怒る』と『叱る』の区別を大切にしているつもりです。
    普段は機械的に『叱る』ことにしていますが、ごくまれに感情を少々こめて『怒る』必要もあります。
    そして数年に一度は『激怒』しなければならない状況があります。」

    12月09日 「おかげさまで、他の科目の成績は安定してきましたが、国語の成績だけが芳しくありません。
    本人は『中学校の国語の先生と相性が悪い』と言いわけします。
    幼い頃に読書の習慣を身につけられなかったのも、原因だと思います。」

    12月10日 「依存心の強い子で困っています。
    何でも人に頼ってしまいます。
    自分から積極的にしてほしいと思っています。
    しかし、塾へは自分の意志で通うようになっているようです。」

    12月11日 「親の目から見ても、ませる年頃にいると実感しています。
    いろいろなことに興味を持つようになり、勉強がおろそかです。
    それに気がつくかつかないかは本人次第ですので、あまり口には出していません。
    しかし、『約束』を大事にしないときは、きつく叱っています。」

    12月12日 「勉強に対して自信と安心感が出てきたようです。
    先日授業参観がありましたが、積極的に授業に参加しているようです。
    勉強をするときのおどおどした姿勢もなくなり、表情も明るくなってきています」

    12月13日 「子育てを失敗したのではないかと不安を感じることがあります。
    しつけのため厳しくしすぎました。
    表面的な感情のない子です。
    もう少し甘やかしても良かったと思います。」

    12月14日 「成績が少しずつですが伸びてきました。
    お友達にも目標とされるようになり、嬉しく思います。
    体調が悪いときも、がんばって休まず塾に通っています。」

    12月15日 「自由奔放すぎる子供に厳しくしたいと悩んでいます。
    どのくらいまでの厳格さに、子供が耐えられるかの判断に躊躇しています。
    しかし、親としてどれだけしつけをしてやれたかが、結局は将来の子供の礎になると信じています。」

    12月16日 「『こんなことも知らないと、大人になったらみんなに笑われる』と叱られ私たちの世代は育ってきました。
    しかし、この文句の効果が年々薄れてしまっているようです。
    子供たちの『恥』という感覚が消えつつあるのでしょうか。」

    12月17日 「うちの教育方針として、個性を尊重したいと思っていましたので、なるべく自由に上から押さえつけることをしないようにしてきました。
    勉強の方も、本人の向上心ややる気がでてくるまでは無理にさせることはなかったのですが、近頃の我が子を見ていますと、わがままで自己中心的なところが目に付きます。
    自由にさせるということと放任しておくことの境界線が、今はわかりません。」

    12月18日 お休みです。

    12月19日 推薦入試で作文や小論文を書かなければなりません。
    毎日一題を課してしています。
    N君は仕上げるのに3時間くらいかかります。
    文を書く習慣がない、自分のことや自分の将来を真剣に考えたことがないのが理由でしょう。
    人間には外面的生活と内面的生活があります。
    文章を書くということは、その内面的生活を意識させる修養の時間になります。
    試験までに50分以内で書けるようになります。

    12月20日 受験生が、自分の志望する学校の過去の問題集に取り組み始めました。
    採点して「何点とれた」だけで満足することなく、誤答の箇所を復習することの重要性を説いています。
    特に巻末の解説を自分で読み進める力が必要です。

    12月21日 田中を手伝うDより
    「今年もあとわずかです。
    大学生になってから時間が経つのが本当に早く感じるようになりました。
    一日24時間とは短いなと、つくづく思います。
    今年は、資格取得、ゼミ、アルバイト、旅行など、なかなか充実した時間を過ごせたと思っています。
    しかし、一番肝心な就職活動が今現在、地に足の着かない状態です。
    ずっと学生のままでいたいというのが本音ですが、そういう訳にもいきませんので。
    だいたいの企業の説明会は二月からなので、それまでに企業研究、自己分析などを、進めていかなくてはなりません。
    自分の希望する職業の就けるよう頑張りたいと思います。」

    12月22日 中3の受験生を持つF君の親御さんが、ひどく心配されています。
    「合格できる学校はあるのでしょうか?」
    「昔からここぞという時に力を出せない子なんです」
    「全部落ちた場合あの子が腐ってしまうかもしれません」などなど絶えないようです。
    田中にはどうなるかはわかりませんが、「この子を信頼して任せてみましょう。
    親御さんが考えておられるほど子供ではないですよ。
    失敗したらその時はその時で、支えてやりましょう。」

    12月23日 今日より冬期講習が始まりました。
    高校受験生は11日間の授業です。
    近年は受験の形態が多様化していまので、作文などの添削も行っています。
    ラストスパートの始まりです。
    集中力と体力のある子が、これからの時期に成長してくれます。
    もう不安に陥っている暇や、逃げ場所を探す余裕はありません。

    12月24日 理学療法士(リハビリなどの先生)を目指し浪人生活をしていたD君が志望の学校に合格しました。
    以下はD君の投稿です。
     「私は理学療法士になるために、勉強をしてきました。
    数学や英語を中心にやり、時々小論文の練習もしました。
    小論文の練習で初めは論文を書くペースが遅く、さらに全然うまく書けませんでした。
    しかし、練習をしていくうちにペースも上がり、言葉遣いも上手になっていきました。
    本番ではしっかり書くことが出来ましたが、不合格となってしまいました。
    しかしそこで落ち込まず、次の試験に向けて頑張ろうと思いました。
    数学や英語も、基礎から田中先生にしっかり教えてもらい、二度目の受験で合格することができました。
    けれども合格したからとなまけずに、理学療法士についての知識をつけていきたいと思います。
    これからは浪人生活で学んだことを生かしていきたいと思います。
    くじけずに、理学療法士を目指して頑張っていきたいと思います。
    また、理学療法士になることが出来たのならば、地方では医療スタッフ不足なので人手の足りない所へ進んで行くでしょう。
    まだ入学まで時間があるので、医療関係についての知識をつけていき、専門学校での勉強についていけるよう準備をしていきたいと思います。
    そして、理学療法士になり、たくさんの人達に貢献できるように精一杯努力していこうと思います。
    田中先生、ありがとうございました。」

    12月25日 受験する学校を選ぶ際に、1校くらいは不合格になる体験も意味があると思います。
    現実の厳しさや自分の限界を知ることができます。
    たいして勉強をすることなく、高校受験を成功させた子には、おごりがでて、大学受験を甘く見てしまう傾向があります。
    反対に、第一志望の学校へ通えなかった子どもは、その悔しさをバネに、次の機会に大いなる結果を表してくれる可能性があります。